「イリス」について

  • 2009.03.22
  • 杉山

「桜は桜」の歌詞のなかの「流れに掉さす」という部分についてですが、私もMUSICOで試聴した時から気付いていました。一般的によくある間違いなのですが、夏目漱石の『草枕』の冒頭部分にある「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。」をついでに覚えとけば間違えなくなります。
 さて、そんななかで私自身が「これ、谷村さん、間違いじゃないの?」と思ってしまった歌詞のことについて書こうと思います。
 『オリオン13』のなかの「イリス」です。
 まず、「イリス」という題名を見たときに、「イリス」が何なのかわかりませんでした。しかし、歌詞の中ほどに「風のない丘に 咲く彩目」、また最後には「紫にゆれるイリス」とあるのを見て、「あっ、これはアイリスのことだ」、つまり、アヤメ科の総称の英語であるIRISを谷村さんが「イリス」と間違って覚えていたのではないか、と勘繰ったわけです。
 しかし、よくよく歌詞を見てみると、「ゲーテの女神は虹」という謎の言葉が・・・
 そこで初めて「イリス」という言葉を調べる気になって、そしてイリスがギリシャ神話の虹の女神の名であることを知ったのです。
 さらに、アヤメ科のアイリスの語源は、アヤメ科の花の色が多彩で鮮やかなので虹を連想させるからであることも分かりました。
 また同時にイリスは、瞳を含む「眼球の角膜と水晶体の間にある輪状の薄い膜」すなわち虹彩のことを表わすことも分かりました。
 そこで初めて、歌詞の中で谷村さんが「まばたきのように 時は行く」とか「まばたきの裏に 残るアイ」とか「まばたき」という言葉を繰り返していたことがつながってくるのです。「アイを開いて」の「アイ」は「eye」すなわち「眼」のことでしょうし、と同時に「アイを忘れて」等とあるように当然ながら「愛」をも表わすのでしょう。
 「さかさまに映る イリス」は網膜上では像はさかさまに結像すること、「青から赤へと つなぐアイ」は虹の七色のグラデーションを意味すると思われます。
 なお、ゲーテは『色彩論』を著しており、「色彩は単なる主観でも単なる客観でもなく、人間の眼の感覚と、自然たる光の共同作業によって生成するものである」と主張したそうです。
 まとめますと、「イリス」とはギリシャ神話の虹の女神であり、瞳(虹彩)であり、アヤメの語源であり、「アイ」とはeyeであり、愛である、ということですね。ゲーテまで絡めてひとつの歌に結晶させてしまうあたり、やはり、流石と言わざるを得ませんね。

 それにしても、ファンから間違いを指摘されて、すぐに誤りを認め、率直に反省を述べることのできる谷村さん。強弁やはぐらかしで逃れようとするどこかの国の政治家の皆さんにも見習って欲しいものです・・・

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