
- 2007.05.23
- イベント
心の手紙フォーラム2007Tokyo 4/23@メルパルクホール
かつては誰にとっても、心の機微を伝える最良の手段であった手紙――そこには、現在では失われつつある美しい言葉の文化が存在します。
こうした日本の文化を再認識するために発足された「心の手紙プロジェクト」――その第一歩として今回の「心の手紙フォーラム2007Tokyo」は開催されました。
この「心の手紙フォーラム」はトークセッション形式になっており、記念すべき第一回では、ゲストに作家の浅田次郎さんを迎え、谷村さんと手紙の大切さについて語り合いました。息の合ったお二人の楽しいトークセッションの様子をレポートします。
谷村さん、浅田さん登場!
実はお会いするのは今回がはじめてというお二人。浅田さんの控え室での第一印象を谷村さんが明かすなど、和やかなムードでトークセッションがスタートしました。
あらかじめ用意された「緑」「転」「絆」「伝」という4つのテーマに沿いながら、お二人の巧みな話術によって、セッションは予想もしない方向へと発展していきます。

街や人、国との「縁」
最初のトークテーマは「縁」。大阪生まれの大阪育ちである谷村さんと、東京生まれの東京育ちである浅田さん、というまったく異なる環境で育ったお二人。
谷村さんがはじめて東京に降り立った日の印象を「なんておしゃれな人が多いんだろうと感じた」と切り出すと、浅田さんは「なんで大阪の人はみんな街中でも普段着なんだろう、とびっくりした」と応戦。とても初対面とは思えない息の合ったトークで、会場全体が引き込まれていきます。
さらに、大切な人々との縁について・・・お二人が共通して惹かれた、中国という国が持つ独特のリズムについてなど…。司会の小川もこさんがトークの間に上手に入り込みながら、セッションは徐々に盛り上がっていきます。

浅田さんの「転」機となった出来事とは?
2つ目のテーマは「転」。人生の「転」機について訊かれ、故三島由紀夫さんとの出会いが小説を書く上で大きなターニングポイントになったという浅田さん。その出会いから壮絶な彼の死についてまで、当時を思い出しながら熱く語ってくださいました。
また、小説を書こうと思ったきっかけを谷村さんに問われれば、「読むのがこんなにおもしろいのだから、書いたらもっとおもしろいんじゃないかと思った」と、シンプルで奥深い返事をされていました。
浅田さんは中学生の頃、教科書に載っている著名な作家の作品を読んでいて結末に納得がいかず、自らオリジナルのストーリーを考えて書いていたという貴重なエピソードも披露しました。その独創的でリアリティ溢れる内容に、会場から笑いと感嘆の声が沸き起こります。
会場の熱気が冷めやらぬまま、トークセッション前半が終了。一旦お二人が退場されます。

「絆」そして「伝」・・・「未来の君たちへ」伝えたい想いとは
クラブツーリズムの会報誌「旅の友」で募集された「心の手紙」応募作品を司会の小川もこさんが読み上げるところから、フォーラムの後半がはじまりました。応募者の方の心震わせる手紙の内容に、会場中がしんと静まり返ります。そんな中、改めてお二人をお招きし、今度は「絆」をテーマにトークセッション開始です。
学生時代の文通にまつわる切ないエピソードに想いを馳せつつ、お話は家族への愛情や死生観についてまで、大きく発展していきます。
また、「最近はなんでも活字で打ってしまうけれど、自分の手で書くことでしか伝えられない想いがありますよね」と谷村さんが言えば、「あります、絶対にあります、だって「手」紙ですもん」と浅田さんが深くうなずき、手紙という形から学ぶコミュニケーションのあり方について展開していきます。
フィナーレでは谷村さん、浅田さんがそれぞれ今回のフォーラムのために自筆でしたためた手紙を朗読。「未来の子供達へ」というテーマで、谷村さんは歌を通して、心を開く目印としての「旗」を立て続けていくことの決意を表しました。
浅田さんは、原稿用紙に書いた短い手紙から、唯一人間に与えられた、「言葉」という存在を残していくことの大切さを未来の子供達へ伝えました。お二人それぞれの人生から、等身大の真摯な想いが伝わる、感動のフィナーレとなりました。

今回のフォーラムは、その場にいた方それぞれが手紙について改めて考え、その魅力を見つめ直すきっかけとなったのではないかと思います。
手紙という形を通して、コミュニケーションのあり方、日本の美しい言葉の文化を再認識し、未来へと刻んでいく「心の手紙プロジェクト」。まずはそのはじめの一歩を踏み出せた、そんな充実感の残るフォーラムとなりました。
心の手紙プロジェクト













